あめのひ
―――雨の日は嫌いだ。
薄暗くて、湿っていて、居心地が悪い。
なにより、あの忌々しい匂いが嫌いだ。
――だが、このことをユーリに話したら、ひどく怒られた。
雨が降るから、美味しい作物が育ち、それを食べることができる。
たくさんの水が溜まって、森がろ過し、それを飲むことができる。
おれたちが生きていくためには、雨は必要不可欠な、大事なものなんだぞ、と。
・・・・・言われてみれば、確かにそうだ。
へなちょこの割には、よく分かっている。
これからは、雨に感謝し、嫌わないようにしよう。
ぼくは息を一つ吐くと、執務室の大きな窓を見遣った。
そして、水滴で曇ったガラス張りの窓に、そっと文字を書く。
ちょっとの悪戯心で、たったの、二文字。
あいつが、ここから外を覗くことを、知っているから。
これを見たら、あいつは、どんな顔をするだろうか。
驚いて、そして照れるだろうか。
自分がこんなにも大切な存在だと、改めて実感するだろうか。
まぁ、どちらにしろ、何らかの方法で仕打ちがくることは違いない。
たまには、こんな雨の日も、悪いこともない、な。
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